2001年の子どもが危ない -7-

●(30)食品添加物が、勉強嫌いの暴れ者をつくる

 「子どもが、手をつけられないほど暴れたり、勉強についていけなかったりするのは、食事からとる合成添加物に原因がある」

 この革命的な学説は、1973年、サンフランシスコの免疫学者、故ベンジャミン・ファインゴールド博士から発表されました。それ以降、異常な行動パターンと食事の関連は欧米では一気に関心が高まったのです。ここでいう行動バターンには次にあげるような様々なバリエーションがありますが、ひとまとめにして、「ハイパーアクティビィティ」と呼ばれています。

  • 落ちつかず、いつでも体を動かしている。歩けばいいところでも走る。いつも貧乏ゆすりをする。人や物にやたらとさわりたがる。
  • 衝動的に行動するので、次に何をするか予想ができない。気が短い。わけもなくあわてる。忍耐という言葉と全く縁がない。
  • 家庭でも学校でも暴れ者で通っている。授業の進行を妨害する。人が遊んでいるのをじゃまする。友達ができない。
  • 何かに集中できない。勉強ができない。知能指数は悪くないのに、成績は低い。
  • 幼児のころ、リズミカルに頭を枕にたたきつけるくせがあった。なかなか床につかないし、眠れない。よく夜中に目をさます。睡眠不足。
  • 歩くと、つまずいたり、物にぶつかることが多い。手先が無器用。

 こうした子どもは日本では問題児として扱われるだけですが、欧米ではハイパーアクティビィティという一種の病気だと考えられているわけです。
 その治療となると、かつては中枢神経興奮剤などの薬品を使うしかなく、それで一応は気持ちが落ちつくのですが、学校の成績も上がったケースはなかったようです。子どもの不調の原因を元から断って、元気にしたというのではなく、表面的に症状をつくろうだけの治療だったのです。頭痛、吐き気、うつなどの副作用が出るのも問題でした。

 それだけに、ファインゴールドのレポートは衆目を集めました。合成着色料、香料、保存料(BHA、BHT)を使ったすべての加工食品と、サリチル酸を含んだ食品(果物などに多い)を食べない食事プログラムで、ハイパーアクティビィティの子どもたちの多くが、正常な性格に生まれ変わったというのです。劇的な改善が見られたのは約5割ですが、衝動的な行動がおさまっただけでなく、ぐっすり眠れるようになり、学校の成積も向上したと報告されています。
 ファインゴールドの食事プログラムが実際に効果があったことは、ハイパーアクティビィティの子どもをもった親たちからの熱烈な支持からも証明されています。患者の両親らが中心になって設立された、「ファインゴールド協会」は、ファインゴールドが亡くなった今でも、全米に多くの支部をもち、彼の食事プログラムを広めています。
 ただし、その内容はその後、より効果的、現実的に修正が加えられました。

 栄養学に造詣の深い小児科医であり、何冊もベストセラーを著しているレンドン・スミス医博は、ファインゴールド食を下敷きにした「スミス食」を発表しています。その内容は、合成添加物を使った加工食品はすべて除く、砂糖と精製した白い小麦粉でつくった食品も極力除くというもの。しかし、果物などの天然にサリチル酸を含んでいる食品は制限されていません。こちらの方が容易に実行でき、効果もあるでしょう。

【禁無断転載】

丸元淑生著
 『2001年の子どもが危ない シリーズ(1) −栄養編−
  第2章 子どもの心と体は、食事でこんなに変わる』
より抜粋

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