2001年の子どもが危ない -3-

●(26)栄養素のわずかな不足が、心を不健康にする

 大人でも子どもでも、くりかえしトラブルを起こす入間には、罰したり、説教をしてもたいして効き目はありません。米国では、出獄した受刑者の3人に1人がまた罪を犯して刑務所に 戻ってきます。

 ショーエントーラーは、「トラブルメーカーたちは、栄養のバランスが悪いため、脳のケミストリーが正常な人間とは異なっています。それで、正常な心理が働かず、刑罰やリハビリにうまく反応できないのです」と語っています。
 栄養状態のよしあしは、脳も含めて、体全体の健康を左右します。食事内容の悪い人の場合、それが脳の健康レベルを低下させ、心理や行動に悪い影響を与えても不思議はありません。実際、ビタミンなどが不足したときに、最初に現れるのが心理面への影響だと、ショーエントーラーはいいます。

 「栄養素の欠乏症状を調べる実験では、まず、栄養状態のよい、健康なボランティアを選びます。そして、ある一種類の栄養素(たとえばビタミンB1とか、亜鉛とか)だけが不足した食事を食べてもらうのですが、どの栄養素を不足させた場合でも、変化の現れる順番は決まっています。
 たいてい、一番初めに現れるのは、脳の機能や、心理面への影響です(緊張感、疲労感、怒り、気分の高まり、落ち込み、混乱などの検査から変化を測定する)。栄養素の不足が、血液検査で見つかるのはその後。栄養学のテキストに載っているような欠乏症状がはっきり現れるのは、そのまた後です。我々が調べた少年たちでも、栄養素のはっきりした欠乏症状があったり、血液検査で不足が見つかるケースはほとんどありませんでした。それでも、心の健康を守るためには、十分な栄養が足りていなかったわけです」

 栄養学者も含めて、バランスのとれた食事をしていれば、ビタミン類は不足しないという固定観念を多くの人が持っています。しかし、これは、栄養素の深刻な欠乏症状が出る心配がないということであって、心の健康状態を良好にするビタミンのレベルが対象にされているわけではありません。まして、まるで食事のバランスがとれていない子どもたちが増えていることを考えれば、ビタミンの供給が十分かどうかは、真剣に見直すべき問題であるはずです。

【禁無断転載】

丸元淑生著
 『2001年の子どもが危ない シリーズ(1) −栄養編−
  第2章 子どもの心と体は、食事でこんなに変わる』
より抜粋

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